◎野生フクロウのエサ◎
「ザ・フクロウ:誠文堂新光社より」
和名 アナホリフクロウ
英名 Burrowing Owl
学名 Athene Cunicularia
アナホリフクロウの主要なエサは、節足動物と小型哺乳類です。そして両生類や爬虫類などもエサとなっています。
オレゴン州における調査では、エサの中で無脊椎動物が占める割合は、数量としては実に91.6%にも及びました。しかし重さに換算すると、わずか22%になってしまいました。これは、無脊椎動物は頻繁に捕れるものの、小型で軽いため、あまり量にならないことを表しています。一方、小型の脊椎動物は、捕獲数自体はエサ全体の8.4%と10%にも満たない割合でしたが、重量に換算すると78%を占めていました。脊椎動物はなかなか捕獲しにくいものの、捕まえることができれば大きくて重量もありますから、数が少なくても十分お腹を満たすことができるのです。この地域ではアナホリフクロウのエサとなる脊椎動物は、そのほとんどが哺乳類でした。一方、フロリダ州では、両生類と爬虫類が特に重要な獲物となっていました。アリゾナ州における調査では、夏場のアナホリフクロウのペリットを調べたところ、サソリ、カブトムシ、セミ、小型げっ歯類が、高頻度で捕食されていることが分かりました。カリフォルニア州における冬場と初夏の調査では、カブトムシ、コオロギ、ハタネズミが最も高頻度で捕食されており、ハサミムシがその次に多いということが分かりました。しかし現在では、ペリットの分析調査はフクロウの食性を表すには、やや不正確な情報源であることが知られています。獲物の食べ方や消化率の違いなどで、エサ動物の量や割合、種類などが大きくぶれることがあることが分かり、これらは参考データとしてとらえるのが適当でしょう。
アナホリフクロウは主に薄明時に出現しますが、ハンティングは24時間行っています。日中の明るい間は昆虫をメインに捕まえ、夜間の暗い間は小型哺乳類をメインに捕らえます。狩りは地上を歩くか、走るか、とび跳ねるかして行われることが多く、とても健脚であることが伺えます。また、木の枝から飛んで狩りを行うこともあり、高めの草木の上をホバリングして、空中で獲物をとらえます。ハンティングのスタイルは獲物のタイプや活動性、時間帯、狩り場の植生などによって異なります。獲物は足を使って捕らえ、くちばしに持ち替えてから運んだり、若鳥へ給餌したりするようです。繁殖期の間使う巣穴やトンネルの中でも、時々、エサ動物を見つけますし、また、ハンティングエリアのいたるところに散在するエサの貯蔵場所でもエサ動物を捕まえることがあります。
参考文献:
Manfred Heidenreich (1995),
Birds of prey medicine and management, Blackwell Science, Inc., MA
J d Hoyo, A Elliott and J Sargatal(1999), Handbook of the birds of the
world Vol.5, Lynx edicions, Barcelona
Hand, Thatcher, Remillard and Roudebush, 本好茂一監修(2001),小動物の臨床栄養学第4版, マークモーリス研究所日本連絡事務所,
カンザス州トピカ
Boxes, baskets and platforms / artificial nest sites for owls and other
birds of prey, Sue M. Dewar and Colin R. Shawyer, the hawk and owl trust,
London
Fredric L. Frye, 松原哲舟監 (1997), 飼育下爬虫類の食餌, LLL Seminar
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